久しぶりではあるが、またまた「煮干し」の話である。
『煮干しの解剖教室』という本がある。そう、タイトルの通り、煮干しを解剖しようというのである。
「煮干し」は、わたしは、子どものときからお世話になっている。煮干しと言えば、味噌汁であろう。わたしは子どもの頃も味噌汁が大好きであったが、いまも大好きである。子どものころ、ほとんど毎日食べていた我が家の味噌汁の出汁は、煮干の出汁であった。だから、味噌汁を作る前には、煮干しから頭の部分を取り外すという仕事をよく手伝ったというか、手伝わされたと言ったほうが正解かもしれない。そんな覚えがある。思い出してみると、わたしはそのお手伝いは嫌いではなかったという気がする。つまみ食いができるから、というのもあったかもしれないが、煮干しの頭を胴体からポキっと折り取るのが面白かったからだという記憶が何となくある。
しかしそれはもちろん「解剖」などではない。解剖といえば、お腹などを切り開いて、心臓や胃や肝臓などを取り出して観察するということだと思うが、わたしが子どもの頃には「煮干しを解剖する」なんて、そんな話は聞いたこともなかったし、学校の授業でも習ったこともなかった。
はたしてカラカラに干からびてカチカチの煮干しを解剖したからと言って、そんなにうまく内蔵などが観察できるものであろうか。さて、どうなんだろう。