2024年2月20日の『東京新聞』の「筆洗」欄にこんな記事が載っていた。
東京の荻窪駅近くの立ち食いそば屋に若い女性がひとり入ってきて、食券を店の人に渡すと「そばですかうどんですかと」聞かれ、大抵はここで客は「うどんでおねがいします」とか「そばで!」とか応えるのだが、この女性は「どっちですかねえ。どっちがいいですか」と店のおじさんに尋ね返したそうだ。
立ち食いそば屋にはわたしもよく入るけれど、たいていは食券を自動販売機で買って、その食券を店員に渡しながら、「温かいそばで」とか「冷たいうどんでお願いします」とか伝えないといけないので、まあたいていは、食券を買うときには、そばにするかうどんにするかを決めていると思うのだが、この女性は決めていなかったのか、あるいは食券を買ったときには決めていたのだけれど、いざどっちかを伝えないといけないときになって迷ってしまったのか、どうしたのであろう。
ここで「筆洗」氏は、
勝手な想像をすれば、この人が求めていたのはそばでもうどんでもなかったかもしれない。ひょっとしてほしかったのは誰かとの「会話」ではなかったか。
と書いている。う~む、そうだったのかもしれない、とわたしも思う。最近は、こんななんでもないちょっとした会話ができるようなお店がなくなってしまったからなのだろうか。
ところで、店の人はそのお客さんの問にこう答えたそうである。
「そばがいいよ」
まあ、立ち食い「蕎麦屋」なんだから、やっぱりそなんだろうなあ、そばをすすめるんだろうなあと思った。しかし、わたしだったらここは「うどん」をすすめたいと思う。「うどん」のほうがそばよりもなんとなく温かい感じがしませんか?
それとも、わたしがそう感じるのは、わたしが西の方の出身者だからでしょうかねえ。うどんが好きなんですよ。
つるつるっとくるそばよりも、ずるずるっとくるうどんのほうが温かい気がしませんか。しないかなあ。