絶滅危惧種というのは、まあ通常使われるのは、動物や植物などの生きもので絶滅しそうな種に対して使われていると思う。
だがわたしは、これまでそういった生きもの以外の、例えば文房具であるとか、時刻表であるとか、近年ほとんど耳や目にすることがなくなりつつあると思われる言葉なども「絶滅危惧種」として、ブログの話題にとしてとりあげてきている。まあ、わたしのように長年生きてきていると、そういう事例がだんだんと増えてくるのは当然といえば当然なことであるだろう。
ところで、わたしが最近目にしたブログに、こんな事が書かれていた。わたしにしてみると、これはまさしく絶滅危惧種の一つであるように思われたので、ここに紹介させていただくことにした。勝手に紹介してしまって、書かれた方には申し訳ないことをしているかもしれないのだが、お許しを。
その話というのはこうである。
「ここ20年くらいの歌を聴いておりますと、鼻濁音がどんどん消えていく傾向があるような気がします。……この傾向が続けばそのうちには鼻濁音は消失する運命にあるのかもしれません」
そう、今回の絶滅危惧種は、「鼻濁音」である。
もっとも、わたしはそういうこと、つまり最近の歌には鼻濁音が消えつつあるということであるが、日常会話や、ラジオやテレビから流れてくる歌を聞いていても、あまり感じたことがないのである。というか、わたしの耳では、鼻濁音とそうでない「が」の発音の区別を確認できないのかもしれない。常日頃そういうことを意識していないからというのも大きいとは思うのだが、そういう発音の違いをしっかりと認識できる方というのがいらっしゃるんだなあと、このブログを読ませていただいて感心した次第である。
こういうのはなんなんだろう。音感の違い? 話し言葉に対する関心の度合いの違い? これからはちょっと、人の話している内容だけでなく、発している言葉の「が」の発音に注意をもっと向けてみようかな。
鼻濁音が絶滅危惧種であるという仮説が成り立つとすれば、年齢が上の方々は鼻濁音を発している人が多いが、若い方々は鼻濁音を発していない人が多い、という予想が立つ。
さて、果たしてこのわたしの予想は、あたっているだろうか? いちばん心配なのは、その判定が、わたしにできるかどうかが、かなり怪しいことである。うーむ。