だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

今年前半の出版界

新文化』という出版界の専門紙(週刊)があります。わたしの会社でも購読していますが,8月2日号に,2007年上半期(1〜6月)の出版物販売金額が発表されていました。それによると,前年同期比で,書籍は3.9%減の4886億円,雑誌も2.9%減の5839億円とのことです。
このような販売金額の減少は,このところ何年も続いています。特に雑誌の落ち込みは激しいものがあります。

わたしの会社でも月刊誌を出していますが,ずっと微減状態で,出版界全体の動向と連動しているようです。
書籍も,わたしの会社で出しているものは,もともとそんなに売れはしないが,不景気だからといって急に売れなくなるというということもない感じだったのですが,このところの新刊はとくに売れ行きが鈍っている感じが凄くします。

新文化』によると,書籍の場合は,部数は0.1%伸びているのに金額が減っているのは,安い単行本や新書,文庫本がよく売れているためであろう,としています。
雑誌については,「ネットやケータイへのシフトはもとより,少子化の影響による若年層の雑誌離れが大きな要因といえる」と分析しています。

たしかに,ネットやケータイへのシフトということは,自分の生活を振り返ってみても,まったくその通りだと思います。雑誌をまったく買わないわけではありませんが,情報を得るために買う雑誌は確実に減りました。インターネットで得られる情報が増えてきたからです。この傾向は今後もどんどん進んでいくでしょうね。
それに,通勤電車の中では,わたしは以前は,新聞か雑誌か単行本のどれかを必ず手にしていましたが,ここ2年くらいで,ケータイを手にしている時間がどんどん増えています。メールを読んだり書いたり,ケータイで小説を読んだりしているのです。
出版社の社員がこうなのですから,世の中の多くの人はもっと雑誌や単行本離れが進んでいることは間違いないでしょう。

そして,そのことに対抗すべく,多くの出版社は単行本の定価を下げたり,今までなら単行本で出していたテーマの本を新書で安く出したりしているというわけです。それで,販売部数はかろうじて保っているわけです。しかしそれでは,とくに書店では,手間は増えているけど売上は逆に減っているということになってしまいます。これではやっていけませんよね。

そこで,わたしは逆に,少子化と高齢化による,本を買ってくれる人数の減少に対抗するには,定価を上げなければいけないのではないかと思っています。もちろんそのためには,高くても買いたくなるような本を作らなければいけないわけですが。

ところで,今年上半期の新刊点数は,38896点とのことです。これは,毎日213点の新刊が出ているという事です。ちょっと多すぎるのではないかと,出版社社員であるわたしも思いますが,この新刊点数もこれから増える一方なのでしょうか。