だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

茂木さんとの対談の中で,編著者の佐倉さんはこう述べています。

「科学の研究を説明するとき,科学的な事実だけを伝えてもダメだということです。それがどういう問題意識のなかででてきたもので,人類史的にどういう位置づけなのかという物語をまとわせないと,社会には伝わらない。ドーキンスの「利己的な遺伝子」にしてもアインシュタインの「相対性理論」にしても,あれだけ一般に流行ったのは,世の中を見る方法とか当時の社会的な文脈のなかにはまったからだと思う。/今の科学コミュニケーションに対してぼくが不満なのは,科学を「わかりやすく」伝えるということに一所懸命だっていうこと。それではダメだと思う。「なんでこの科学が面白いのか」ってことのほうを説明しなくてはならないんであって,科学の中身をわかりやすくするのは限界がある」

これには大賛同です。科学と言っても,なにか科学的事実がひとりで出現したりするわけではなく,そこには必ず発見したり発明した人間がいるのです。その人間の物語をきちんと語らなければいけないと思います。それは「科学的事実や法則」そのものからすると「横道」かもしれませんが,横道がなければ本道は存在できないのではないでしょうか。横道は本道を支えている部分だと思います。その支えているところを抜きにしては本道は語れないと思いますし,聞いている人も人間の物語として受け取れないのでは感動は少ないと思います。