だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

 まだ途中なのですが,大変面白く,興味深く読んでいるところです。
暮しの手帖』が生まれたのは,当時25歳の大橋鎮子(しずこ)さんが,花森安治さんに,こんなふうに話しかけたことが始まりだということです。やはり,なかなかしっかりした人だったんですね,大橋鎮子さんという方は。

「私の父は長いこと肺を患って亡くなり,母はたいへん苦労をしました。父が亡くなったのは私が小学五年,十歳のときです。私たち姉妹三人は,母の苦労で今日まで過ごしてきました。母が自分の着物や帯を売ったり指輪を売ったり,祖父が北海道の家や土地を売ったりして,女学校を出してもらいました。
 こんどは,私が母を幸せにしなくてはなりません。祖父にも恩返しをしなければなりません。それには,人に使われていたのでは,収入が少なくてどうにもなりません。自分がなにかしなくてはと,いろいろ考えましたが,私は戦争中の女学生でしたから,あまり勉強もしていなくて,なにも知りません。ですから,私の知らないことや,知りたいことを調べて,それを出版したら,わたしの歳より,上へ五年,下へ五年,合わせて十年間の人たちが読んでくださると思います。そんな女の人たちのための出版をやりたいと思いますが,どうでしょうか」