だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

見上げれば秋澄みにけり宇宙の果て

本日(2021年9月19日)の『東京新聞』朝刊「フロンティア発」欄に「宇宙線の起源は〈超新星残骸〉」という記事が載っていた。

わたしは、「宇宙線」というものは、地球の近くということでいえば、太陽から、そしてそれ以外にも、太陽よりも遥かに遠い銀河などから飛んでくるものと思っていた。もちろん超新星爆発のところからも飛んでくるのであろうと。そういう、これまでは仮説であった「宇宙線の起源」が、やはり「超新星爆発を起こしてできる〈超新星残骸〉であった」ということが突き止められたということである。突き止めたのは、名古屋大学などの研究チームということである。

 

宇宙空間をほぼ光速で飛び交う粒子(宇宙線)はどこから来るのか。これまでの研究から、寿命を迎えた星が超新星爆発を起こしてできる「超新星残骸」が有力視されていました。そんな中、名古屋大などの研究チームは、地球から約3000光年離れた超新星残骸から飛来するガンマ線の観測データを解析し、宇宙線の主成分である陽子が生み出されていることを突き止めました

 

とのことである。

ところで、宇宙線は、この新聞記事に「宇宙線の90%は陽子です」と書かれているように、とても小さくて、とてもとても目に見えるようなものではない。「陽子」というのは、原子の一部である原子核のそのまた一部である。ということは原子よりも小さいということである。分子や原子が見えないのに、陽子が見えるはずはないのである。

しかも、あまりにも小さいので、どこもかしこも通過してしまっているらしい。そう、わたしたちの体だって宇宙線がどんどんぶつかると言うか、スイスイと体を通り抜けているということである。

 

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この宇宙線、直接は見えないのであるが、飛んでいるということが分かる装置があるのをご存知だろうか。

霧箱」という装置がそれである。全部の宇宙線が見えるわけではないのだが、宇宙線のいくつかは、この装置があれば、宇宙線の飛跡を目で見ることができるのである。霧箱は、東京だと上野公園の科学博物館にある。東京都以外でも、科学館などには置いてあるところが結構あるはずである。見たことがある方もいるかも知れないと思うのだがどうであろうか。

この霧箱は、なんと手作りすることもできるのである。ドライアイスでアルコールを冷やして、アルコールの霧をつくってやると、その中を宇宙線放射線)が通ると、飛行機雲のような飛跡をつくるものがあるのである。

わたしは、じっさいにこの霧箱というものを見たことがあるのであるが、じつにもう、ビュンビュン飛び交っているのが見えるのである。霧箱の暗いアルコールの霧の中に、まるで流れ星が無数に飛んでいる光景が見えたのである。きれいであった。思わずしばらく見とれてしまった。

いやあ、はじめてみたときはちょっと信じられなかった。ほんとにこんなにたくさんの宇宙線が飛び交っているの? とびっくりした。だがじつは、この霧箱で飛跡が見える宇宙線宇宙線の一部のものだけであるというのだから、ますますびっくりである。

霧箱、楽しい。

 

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「見上げれば秋澄みにけり宇宙(そら)の果て」

「見上げれば月一つあり他になし」

「月見れば飛び交う陽子宇宙線

宇宙線体を抜けて秋の空」

干し柿に刺さり続ける太陽光」

干し柿に無数に当たる宇宙線

干し柿や陽子飛び交う宙にぶらり」

「秋の空見えそで見えない宇宙線

宇宙線浴びて爽やか宇宙(そら)を見る」

「月を抜け地球も抜けて宇宙線

「地球まで天の川から宇宙線

宇宙線当たっておいし木の実かな」

宇宙線秋澄みにけりそこらじゅう」

「新酒にも飛びこんでいる宇宙線

「見上げれば宇宙の起源天の川」