だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

夕立も うれしき本屋 いまは無し

「出版 3 社が丸紅と新会社設立に向け協議を開始 」というニュースを、わたしは、下記のブログで知った。出版3社というのは、講談社と、集英社と、小学館で、大手総合商社・丸紅と、出版流通における新会社を2021 年内の設立に向けて協議を開始したということらしい。出版流通の新会社ということは、つまりは、本と雑誌を全国の書店に届けるための会社ということになるのであろうか。

 

 

comeca.hatenadiary.org

 

講談社のサイトには下記のような発表が掲載されていた。

 

https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2021/20210514_PressRelease.pdf

 

いまや、かなり何でもかんでも、とくに情報は、パソコンやスマホがあれば、ネット上で簡単に入手できる時代になってしまった。

ところが、紙の本は、そして雑誌も、そういうわけには行かない。ネットで通信販売でなければ、書店やコンビニまで出かけていって、手にとって、レジまで運んで、代金を支払って、ようやく落手とあいなる。つまり、本や雑誌は、作られたあと、全国の書店まで運ばれたのちに、わたしたちの目に触れるというわけである。

本は、いってみれば、薄い紙を糊で綴じて束ねたものである。厚みは1枚0.1ミリ位かも知れないが、200ページあれば、厚さは2センチメートルになってしまう。縦19センチメートル、横13センチメートル、厚さ2センチメートルほどの紙の束を、実際に運ばなければならない。1冊ならば500グラムくらいで済むが、これがたとえば1000冊となると、500キログラムになる。これだけでもう、軽自動車につんだら満杯である。本は物体なのである。しかも結構重いものなのである。そう、書店の仕事って、重い荷物をあっちへこっちへと運ぶのが主な仕事といっても間違ってはいないかも知れないと思うのである。

本や雑誌がよく売れていれば、そんなことはまあ問題にはならない。トラックに積まれて本屋に運ばれてきた雑誌と本を店頭にならべて、売れなかったものは、つぎに本が運ばれてきたときに、返品すれば、それで済んだ。まあ重いものを並べたり片付けたりという仕事はもちろんへるわけではないが。

ところがである、その本と、とくに雑誌が売れなくなってきているのである。その結果、本当にたくさんの、街の比較的小さな本屋さんが次々と閉店してしまっている。小さな本屋さんは雑誌が売れることで利益を出していたのであるから、雑誌が売れなくなってきたことが致命傷となったと思われる。

となると、本屋さんに本と雑誌を届けるトラックの荷台は、今までのように、毎日満杯とは行かなくなってくるわけである。というか、もうすでに何年も前から、雑誌がすごい勢いで売れなくなってきていて、本屋さんに届ける量が激減しているのである。となると、当然、1冊あたりの配送料金が上がるわけである。

この問題は、もう何年も前から始まっている事態であって、これまでもすでにいろいろな対策が論じられ、実施もされていると思われるのだが、いまだ解決はしていないと思われる。だから、このような協議が始まったのだと思われるのである。

もし、どうにもいい解決法がないということになれば、最終的には、本や雑誌の価格をいまよりも少し高くするという方法で解決に向かうしかないかも知れないと思う。そうなると心配なのは、高くなった分、売れなくなるということである。買う方も、気軽に本を買おうという気にはならなくなるかも知れない。というか、すでに専門書は10年以上前に比べると、価格が上昇しているような気がする。

 

わたしは思うのであるが、だれでもが、得たい知識や情報は、大変な苦労をすることなく得られるような社会であってほしいのである。本や雑誌の価格は、高すぎない価格であってほしいと願っている。

このあたらしい流通の会社が、そのことのために有用な会社になることを願っている。

  

 

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(うーむ、ここも閉店か……)

 

「夕立も うれしき本屋 いまは無し」