だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

絶滅危惧種〜紙の時刻表

今日のニュースで、「〈紙の時刻表〉廃止へ」というのを見た。最初は鉄道の時刻表のことかと思ったが、よく読んでみると、航空会社の時刻表のことであった。

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全日空は、「〔紙の時刻表の〕廃止に伴い、年間1億5000万円のコスト削減につながり、紙の消費量を365トン抑制できる」とのこと。

日航は「〔紙の時刻表の〕廃止について、年間140トンの紙の消費量の抑制につながると試算し、費用削減、パソコンやスマートフォンの普及に伴う需要減少などを理由に挙げた」とのことである。

コロナ禍で利用者は激減しているし運行ダイヤも大幅に変更せざるを得ないだろうから、経費削減と、臨機応変な運行ダイヤに対応できるためということなのだろう。それらもあるに違いないが、日航が挙げている「需要減少」というのが多分一番の理由ではないだろうか。そう、必要とされなくなったのだ。

世の中から絶滅していくものって、人々が使わなくなったということなのだから。消えていくのは仕方のないことだろう。たとえば「公衆電話」がそうであろる。携帯電話をほとんどの人が持ち歩くようになったのだからもう公衆電話は必要とされないのは当然である。まだ必要とされるとしたらそれは、携帯電話が使えなくなったときのための保険のような役割になるだろう。それだったら駅前に一つくらいあれば良いことになる。新しいものが出てきたらそれに取って代わられた古いものは消滅する。これは物に限らず、仕事なども同じことだろう。ひょっとしたら思考などにも当てはまるかもしれない。

わたしは本が好きなので、この「紙の」時刻表廃止、に思わず反応してしまったのだが、「紙の」本の未来はどうなのだろうか。本以外の「紙の」新聞や「紙の」情報誌、「紙の」週刊誌などは絶滅への道を歩んでいるような気がするのだが、それらの全盛期に生きてきたわたしとしてはとても寂しいというか、悲しみさえ覚える。わたしが生きている間に絶滅はしないでほしい。

この航空会社の「費用削減」の影響先は、時刻表の制作会社や印刷、製本会社、そして製紙会社、さらには書店にまで及ぶのではないか。あらゆるものがネットに吸い込まれるのだろうか。

最初に勘違いした鉄道の時刻表は健在である。まだまだ必要とされているんだね。よかった。

JTB時刻表2021年2月号