だいたいは日々のなんでもないお話

日々の記録というか、忘備録。本が好きです。

ハンガー泥棒

テレビで、鳥が見事な巣を作っているところを見た。

巣と言えば「住」である。「衣食住」と言えば、生きるために最低限必要なものと言っていいと思う。鳥の場合は、「衣」は羽なわけだからもうみんな最初から持っているわけだ。となると「食住」だから、住はとっても大切なものなはずだ。だから食べることの次に力と時間をかけて作るのだろう。わたしたち人間にとっても、住というのは、ほとんどの人にとっては、生涯の買い物の中で最大のお金をかけるものに違いない。自分で作るわけではないが、とっても大事なものだ。

ところで、昨年の春のこと、わたしの家の物干し竿から、針金製のハンガーがなくなるという事態が何度も発生した。ハンガーだけが無くなって、干していたシャツなどは、下に落ちているのである。最初のうちは、風で飛ばされてそんな事になったに違いないと思っていた。しかしよく見てみると、針金製のハンガーだけがそうなっていて、プラスチックのそれはなんともないということに気が付いた。

これは一体どういうことなんだろ。とても不思議で、まるで狐につままれたようであった。

しばらくしてふと思い当たった。これは、ひょっとしたら烏の仕業かもしれない。針金ならば巣作りの役に立つが、プラスチック製のものは折り曲げられないから役に立たない。そうか、そういうことなのか。わざわざ干している服を外して、針金だけを持っていったというわけか。まあたしかに服がぶら下がったままだと飛んでもっていけないだろう。本来ならここでカラスをとっちめてやらなければならないのかもしれないが、不思議とそんな気持ちは全然湧いてこなかった。

「カラス、すごい!」と感心してしまった。

でも気がついてからは、針金製のハンガーで洗濯物を干しておくのは止めた。カラスさん、ごめんね。うちのは持っていかないで。

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